オフショア投資で気を付けたい「為替リスク」
日本の銀行にお金を預けていても、利息はほんのわずか。日本国内よりも高い利回りで、効率的に資産形成ができるオフショア投資(海外積立投資)は近年注目されており、行う人は年々増えています。資産運用を行うにあたりメリットが多いオフショア投資ですが、気を付けたい点もあります。今回は、その中でも「為替リスク」に重点をあててお話します。
「為替リスク(為替変動リスク)」とは?
為替変動リスクとは、円と外国の為替相場の変動により、外貨建て資産の価格が変動する可能性のことをいいます。投資の世界において、リスクとは、値下がり・値上がりを含めてどうなるかわからない(不確実)ということを意味します。
投資家は国ごとの経済成長率やインフレ率、国際収支などの動向を見て、経済成長が期待できると予測される国に投資をします。そのため、多くの人がそう考えて、ある国に投資をすると、その国の通貨がたくさん買われることになり、通貨は強く(高く)なります。
基本的には、為替も需要(買いたい人)と供給(売りたい人)のバランスで価格が変動するのです。
為替変動リスクの本質
日本は石油や食材当を海外から輸入する一方で、車や家電製品などの商品を海外で輸出していますが、その際に外国の通貨と日本円を換算する必要があります。商品やサービスの対価を交換するまでには数か月かかることもありますが、その期間中に為替相場が大きく変化した場合には、為替差益や為替差損が発生することになります。
円と米ドルの為替相場の推移を参考に考えてみましょう。
●円高となった場合
国内で200万円相当の車を1ドル133.52円の相場を参考に、米国内では15000ドルで販売しようと考えていました。販売は好調でしたがその後急激な円高となり、ドルを円に交換する時点であった5ヶ月後1ドル118.07円となっており、日本円に換算すると117万円になってしまいました。つまり、23万円相当の損失が発生したことになります。
●円安となった場合
プラスチック加工業者が石油を1ドル103.21円の相場を参考に1億円相当量を輸入し、対価の支払いを12ヶ月後とする契約を結びました。ところが急激な円安により契約金額を支払う時点では1ドル118.64となっており、円貨で115百万円相当を支払わなければなりません。つまり15百万円相当の負担が増加してしまったことになります。
このように、持っていたドルを売って円に換える場合、円高になると損失が発生すること、またドルを買って支払いをする場合、円安になると負担が大きくなり損失が発生することを「為替リスク」というのです
為替リスクを避ける「為替リスクヘッジ」とは
この為替の影響を抑える「為替リスクヘッジ」と呼ばれる方法があります。
為替は日々変動していますが、将来のある時点で外貨と円を交換する際の為替レートを前もって確定してしまう「為替の予約」のことです。
つまり、契約によって商品代金の受け取りや支払いの期日がすでに決まっている場合、契約日の為替レートを事前に決定してしまえば、為替相場が大きく変動しても損失をこうむることはありません。外貨預金の場合も、満期日における円の手取額を事前に確定する場合は、期日にドルを売って円に換える為替予約を締結する事が可能となります。
ただ、予約した相場(先物相場)とその時点での相場(直物相場)を比較し、直物相場が予約した相場よりも更に円安になっていたとすると、予約をしていない方が受け取り円換算額が多くなるケースもあるため、多少の危険はあるとしても「為替差益」によって儲けようと考えた場合は予約をしない方が良いケースもあります。
賢くオフショア投資をしましょう
前述したように、為替リスクヘッジは為替差益によって儲けようとする場合は逆に損をしてしまう可能性もあります。しかし、為替リスクでの損失は避けることができるためリスクの軽減としてはひとつの手といえるでしょう。
オフショア投資を行うにあたって、「為替リスク」というデメリットはあります。しかしそれ以上に日本の財務状況などを考えると、日本円のみを保有している方が非常にリスクであるため、外貨で保有するということはリスクの分散の意味で重要です。
当サイトでは、初心者の方でも安心して海外オフショア投資を始められるようにサポートしております。資金形成や資金運用についても十分に理解いただいた上で、お客様の資金状況や将来設計を踏まえて適切な方法を提案いたします。